イベント民泊とはイベント民泊というサービスをご存知でしょうか。民泊というサービスを期間限定で行うものなのですが、まだあまり知られていないのが現状です。ということで今回は、イベント民泊がどのようなものなのかという点について紹介していきます。
イベント民泊で得られる大きなメリットや、ホストとして宿を提供する際の注意点についても触れています。興味を持ち、これからイベント民泊に参加してみようと考えている人は、ぜひチェックしてみてください!
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■目次 ・イベント民泊とは
・まとめ
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イベント民泊とは
イベント民泊というのは、大規模なイベントごとのために自分の家を貸し出し、宿として提供することを指します。一般的な民泊の期間限定版のようなものだと考えると良いでしょう。
たとえばオリンピックなどの大きなイベントが開催される場合、現地のホテルだけでは宿泊希望者の数が大幅に上回り、泊まれなくなってしまう場合もあります。一人でも多くの人に現地で宿泊して楽しんでもらうために、イベント民泊サービスはあるのです。
イベント民泊は基本的に、条件さえクリアしていて採用されれば、法律上の許可なく実施することができます。
イベント民泊の許可条件
イベント民泊をしたいと思う人も多いでしょうが、まずは申請を出して自治体の許可を待たなければなりません。全ての希望者が通るというわけではなく、少なからず審査もあります。審査に通るための基準として以下のようなポイントがあるので、チェックしてみてください。
自宅であるか
イベント民泊は基本的に自宅で行うものです。そのため、提供する家屋が自宅でないと、採用される可能性は低くなってしまいます。普段使っていない別荘やセカンドハウスを役立てたいと思う人もいるでしょうが、普段主に使用している自宅でない場合には、審査で通りにくくなってしまうので注意しましょう。
ベッドは清潔か
イベント民泊のホスト側は人を泊めることになるので、当然家の中を清潔にしておく必要があります。訪れた人が快適に一夜を過ごすことができるかどうかはやはり重要なポイントであり、イベント民泊申請時の採用基準にもなります。
特に注意したいのが、ベッドです。利用者が使用することになるベッドは、枕カバーや布団カバー、シーツなどをしっかりとクリーニングして、綺麗な状態にしておくことが望ましいです。自分で清掃を行うのには限界があるという場合には、レンタル品を活用するのも良いでしょう。宿を提供する側も提供される側も、双方に負担がなく、快適に利用できるかどうかも重要な判断基準となります。
シャワーやトイレ・洗面台などは揃っているか
宿として利用するわけですから、シャワーやトイレ、洗面台などの設備はそろっていなければなりません。ホテルのように何もかも綺麗にしておく必要はありませんが、最低限掃除をして、利用者が不満を感じることなく使えるようにしておきましょう。
生活をするためのこのような設備はもちろん、生活上での消耗品などもしっかりと揃えておくことが大切です。あらかじめ十分な量を用意しておくことで、不安なく訪問者を受け入れて泊めることができるでしょう。
近隣住民の迷惑にならないか
民泊はホテルなどと違い、個人の家を宿として提供するものです。そのため、民泊を利用することで近隣の人に迷惑をかけてしまう可能性があります。トラブルが起こらないようにするために、事前に対策を練っておくことも大切です。
可能であれば、近所の人に民泊として自分の家を提供する旨を伝えておくことが望ましいでしょう。見知らぬ人が来るということを少しばかり警戒することもあるでしょうから、説明をして置くことは大切です。
また、賃貸物件を民泊として利用したいという場合には、自分一人で決めるのはNGです。必ず管轄の不動産会社や大家さんに相談をしましょう。借りている物件を民泊として提供するのは「転借」と呼ばれるものになるので、家の持ち主や管理している不動産会社に相談をすることが基本です。
イベント民泊の手続き方法
イベント民泊をしてみたいと思うこともあるでしょう。その場合にはまず、自分の家を民泊として使用したいという旨を自治体に届け出なければなりません。まずは自治体が民泊を募集しているかどうかということを確認して、申込書を作成しましょう。
民泊の申請を出す時には、あらかじめ近隣の住人に説明をしておくのがベストです。また、自分が民泊の条件をクリアしているかどうかということも、この段階で確認しておいてください。公募を行っている自治体では、応募者を抽選で決めるので、必ずしも通るとは限りません。この部分も頭に入れておきましょう。
イベント民泊のメリット
イベント民泊を利用することのメリットとしては、いくつかあります。参加を検討している人は、ぜひチェックしてみてください。
旅館業法の許可は不要
民泊として自分の家を提供する場合、通常であればやや面倒な手続きを行う必要があります。住宅宿泊事業法や旅館業法というものによって宿というのは人を泊める権利を得ているので、民泊を行う場合にもこれらの法律の許可を得る必要があります。
しかし、イベント民泊の場合は、自治体が自分の地域を盛り上げたいので宿泊者を受け入れてくれる宿主を探して行うものです。そのため、基本的には申し込みをして、基準を満たしていれば旅館業法などの審査は必要ありません。抽選で通れば、そのまま民泊として宿を提供することができます。
国内の人の宿泊需要が高まる
民泊の利用者というと、どうしても外国人が多いイメージが付いているでしょう。ホームステイのような感覚で楽しみながら泊まれるのがメリットなので、もちろん外国人のお客さんも多いです。ただ、そうはいっても100%外国人のお客さんしか受け入れないということではありません。民泊のイメージのおかげで、国内の人は利用を遠慮してしまうところもあるでしょう。
イベント民泊を行うことで、開催地域以外のところからたくさんの宿泊希望者が現れます。その結果、今まで取り込めていなかった国内の利用客の集客も盛り上げることができるのです。国内外問わずたくさんの人に来てもらうことができるというのは、宿主はもちろん、自治体としても大きなメリットとなります。
宿泊施設不足が緩和される
イベントが行われることになれば、その地域には多くの人が訪れ、ごった返すことでしょう。大きなイベントであればあるほど、人の混雑は顕著です。人が増えれば当然、宿泊希望者も増えるわけですが、人数によっては宿泊施設が足りなくなることもあります。
そのような場合に訪問者を受け入れる民泊があれば、宿泊施設で悩む利用者も少なくなりますし、宿泊施設が充実してイベントもより盛り上がることでしょう。その地域の魅力も感じてもらうことができるようになり、地域の活性化にも貢献できます。さらに、宿泊施設が増えれば多くの人が来場可能になるので、経済効果もぐんとアップします。
イベント民泊の注意点
イベント民泊にはさまざまな魅力がありますが、一方で気をつけなければならないこともあります。ホスト側としてお客さんを迎える時に、意識しておくべきことをまとめたので、チェックしてみてください。
条件次第では採用されにくいこともある
イベント民泊を行ってくれる宿を募集することは、自治体としても重要なことです。ただ、そうはいっても民泊の申し込み者も少なくはないので、すべての人が採用されるということはありません。基本的には希望者には抽選で民泊の運営権が与えられます。
また、民泊として提供する宿が、自治体が定める基準を満たしていないと、審査に落ちてしまうことがあるので気をつけましょう。基本的に民泊は既述の通り「自宅」であることが前提なので、このあたりは注意が必要です。また、利用者が生活するための設備を備えておくことも基本なので、よく確認をしておきましょう。
募集の情報は自力で探さなければならない
民泊の募集は、基本的にイベントが行われる地域の自治体が行います。もちろんテレビCMなどで告知をすることもあるでしょうが、自治体のホームページのみでの募集となる場合もあります。そのため、情報は自分で検索をしなければならないのです。
近くイベントが行われることがわかったら、随時自治体のホームページをチェックして、イベント民泊の宿の募集がないかどうかを確認しておくと良いでしょう。情報を検索するのに少し手間がかかってしまう点は、イベント民泊の大変な部分と言えます。
寝具や生活用品の調達は自分で行う必要がある
イベント民泊で自宅を宿として提供する場合には、当然のことながら利用者が快適に過ごせる環境を整えておく必要があります。宿として一番重要なのはやはり寝具であり、これがそろっていない場合には審査に通りにくくなります。
また、トイレやキッチン、お風呂などの手入れもしっかりと行うようにしましょう。これらはホテルのように人がやってくれるわけではなく、基本的には宿主が設備を揃えるものです。寝具などのクリーニングが大変だという場合には、レンタルのものを利用するのも良いでしょう。できるだけ手間をかけずに、利用者を楽しませられる環境作りをしていくことが大切です。
実際にイベント民泊が行われたイベント
ここまで、イベント民泊の概要やメリット・デメリットについて紹介してきました。では実際に、イベント民泊が採用されたイベントにはどのようなものがあるのでしょうか。以下にまとめているので、チェックしてみてください。
徳島県「阿波踊り」
徳島県の名物「阿波踊り」は、400年以上も続く伝統のあるイベントです。長い歴史の中で、2017年の8月11日~16日にかけて行われた同イベントでは、初めてイベント民泊が採用されたことで話題になりました。
イベント自体も大いに盛り上がり、さらに市内26軒のイベント民泊提供者の家には、この6日間で延べ275人が宿泊したとされています。集客という意味でも大きな成果につながったので、同イベントでは今後も積極的にイベント民泊を採用していくのではないでしょうか。
ラグビーW杯2019
世界的なイベントであるラグビーのワールドカップでも、イベント民泊は採用されました。2019年に行われた「ラグビーW杯2019」では、9月20日~11月2日までの開催期間の中、12のチキのうち5つの地域(釜石市、大分県、熊本県、神戸市、東大阪市)でイベント民泊を採用しました。
その結果、宿泊者は前年比110%、ホスト側の収益も前年比の108%と、大きな成果を出したようです。世界的なイベントだとさらに大きく成果も出やすいので、イベント民泊を採用したのは大成功であると言えます。
まとめ
今回は、イベント民泊とはどのようなものなのかということを紹介するとともに、それぞれ魅力や注意点についてまとめてきました。イベント民泊はイベント時に個人が自宅を観光客に提供するもので、特に資格や許可が要らないのが大きな魅力です。
イベント民泊制度がより普及していけば、イベントをより盛り上げることができるようになるでしょう。今後さまざまな行事で採用される可能性が高いので、気になる場合にはぜひ近くの自治体の情報をチェックしておきましょう!
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